(2004/04/15更新)
GRASS国際化版(i18n)の新機能
(New Function of GRASS i18n Version)
オリジナル版のGRASS5.0.3をベースに国際化対応させたGRASS i18n版の機能概要を紹介します。
国際化される部分
(1)tcltkgrassのメニュー
GRASSのGUIであるtcltkgrassのメニューを国際化対応しました. 国際化版のtcltkgrassは,オリジナル版と区別するために, tcltkgrass-i18nというコマンドならびに一連のモジュールから 構成されています.
設定されたロケール(環境変数LANG)に応じて,EUC-JP,SJIS, UTF-8の日本語ならびに英語(LANG=C)で表示可能です.
使い方
・GRASSの起動
$ grass5
・tcltkgrass-i18n(国際化版)の起動
GRASS:‾>tcltkgrass-i18n&
注記)tcltkgrassのxterm経由のコマンドを国際化に対応させるため, mltermを使用しています.mltermはあらかじめインストールして おいてください.
(2)コマンド ヘルプ
tcltkgrassに含まれるGRASSの主要なコマンドヘルプを国際化対応しました.
コマンドヘルプは,GRASSのシェルから,
GRASS:‾>d.mon help (一例)
または,tcltkgrassのメニューからはコマンドダイアログの実行 (RUN)ボタンをマウスで右クリックすると表示されます.
(3)モニター上のテキスト
GRASSのモニター上に表示されるテキスト(文字列)を国際化対 応しました.
国際化は,オリジナル版のベクトルフォントではなく,TrueType フォントを使うことで,日本語等のテキストを表示可能として います.
TrueTypeフォントを設定するためのコマンドとして, d.font.freetype コマンドを追加し,フォント,エンコードの 設定を行います.
この国際化により,サイトラベルや凡例などに日本語を使うこ とが出来るようになります.
使い方
・monitorでのtruetypeフォントの表示設定
GRASS:‾>d.mon start x0
GRASS:‾>d.font.freetype [font=trutypefontname] [charset=encoding]
[font]:使用するtruetypeフォントのフルパス名
[charset]:文字のエンコーディング(EUC-JP、UTF-8、SJIS)
例)RedHat Linux9での例
GRASS:‾>d.font.freetype font=/usr/share/fonts/ja/TrueType/kochi-gothic.ttf charset=EUC-JP
・monitorでのtruetypeフォント設定解除
GRASS:‾>d.font.freetype font= 注記)truetypeフォント設定時は,d.site.labelsなどのfontオプションは無視されます.
(4)ポストスクリプト出力の日本語対応
ポストスクリプト出力を日本語対応しました。
国際化されない部分
(1)入出力メッセージ
GRASSの各コマンドが出すメッセージ,情報(例えば、r.info等)はオリジナル版(英語)の出力となります.
(2)manページ
GRASSはmanコマンドによるマニュアルを持っていますが,このマニュアルはオリジナル版(英語)の出力となります.
ライセンス:
これらのプログラムはフリーソフトウェアであり,ライセンスはオリジナル版GRASSに準拠します.詳しくはパッケージ添付のCOPYING、GPL.TXTをご参照ください。
GRASS国際化プロジェクト メンバー:
升本 眞二, Venkatesh Raghavan, 野々垣 進, 根本 達也, 平井 尚喜(大阪市立大学),
萩原 顕, 丹羽 誠, 森 亮(株式会社オークニー),
服部 典弘 (株式会社イー・ソリューション・サービス)
プロジェクトスポンサー:
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA;Information-technology Promotion Agency, Japan)
本プロジェクトは情報処理振興事業協会(IPA)の「オープンソフトウェア活用基盤整備事業」による委託事業「オープンGISプラットフォームの開発」として採択されました.